初めまして。

初めまして。Treceと申します。

このネームに特に意味は・・・・ありません。

なんか、気晴らしに小説なんて書こうかなと思っています。

BLというよりはJUNEな感じが好きかな。

でも、普通のも好きなので、それもぼちぼち書いていきたいです。

とりあえず胸に、ツン、キュン、グサッ。

と来るものを書きたいと思っているのでそこんとこよろしくです。

よかったら読んでください。

(Treceは一応大人なので、大人な表現有りで行きたいと思いますんで、そこんとこもよろしく。)




泥愛 1-1


ここバトリードス王国は、大国にして強大な軍事力を有し、この国が存在し他国ににらみを利かしているからこそ大陸の国々は均衡を保っているとさえいわれるほどである。特にここ15年は、王国はもとより大陸も安定した平和が保たれており、人々は安寧のうちに暮らしている。
そして、この物語はそんなバトリードス王国でのお話である。



CH1. 幼き日の思い出の中に。


思い出すのは、

さんさんと降り注ぐ太陽の光の下、

その光をいっぱいにためた黄色の花畑で、

眩しく微笑むあなたの笑顔。

あなたは、きっと知らない。

そのとき、君がぼくにくれた

永遠に枯れることのない輝くはながあることを。



CH 1-1.

ひらひらとたくさんの蝶々が飛び交う、あふれんばかりに黄色く輝く花畑の中、二人の少年が駆け回っていた。

「フランシス、速く、速く。あの蝶々を捕まえるんだから。」

ダークブラウンのつややかな短い髪をゆらし、その翡翠色の瞳を輝かしながら、すらりとしたしかし、しっかりと筋のついた肢体を存分に使い先を走って夢中で蝶々を追いかける少年は、自分より少し遅れて駆けてくるもうひとりの少年を振り返った。

その少年は少し長めの、青光りするような銀髪をさらさらとなびかせながら、同じ色の眉を少し寄せ、アッシュブルーの瞳を潤ませていた。まだ、幼く、存分には力を出し切れない手足を、それでもしっかりと動かし、先を走る少年を追いかけている。あどけない彼の顔からは、かなり必死さが感じられた。

「待ってください。ディクラートさま。」

その必死な顔をした少年が息を切らしながら少し大きな声で言った。

先を走る翡翠色の瞳をもつ少年、ディクラートは、必死に自分を追いかける自分より3つ年下の少年の姿に優越感、とある種の心地良さを感じていた。

「速く。フランシス。あの蝶々を捕まえるんだから。」

そう言ってディクラートはさらに走り続ける。本当はもう、蝶々には興味はない。このたくさんいる蝶々のどれを追いかけていたのかも覚えていない。
ただ、銀色の髪を惜しげもなく揺らしている少年、フランシスが自分を必死に追いかける姿が気味良くて、さらに走り続けた。
少しして後ろで

「あっ!」

と声がして、ディクラートは立ち止って振り返った。
見ると、フランシスが黄色い花の中に倒れている。
ディクラートは慌てて駆け寄り、フランシスを起こしてやり、足を延ばして座らせてやった。
幸い花がクッションとなりけがはないようだった。ディクラートはほっと息をなでおろして、俯いたままでいるフランシスを覗き見る。
フランシスは眉根を寄せて、必死に涙をこらえているようだ。
ディクラートはどきりとして、少し焦ってフランシスに話しかけた。

「すまない、フランシス。大丈夫か?痛いところないか?」

と少し幼児に話しかけるようになってしまう。
フランシスは、そろりと顔をあげてディクラートを見て潤んだ瞳をしながら、

「大丈夫です。申し訳ありません。」

と答える。

ディクラートはその様子に胸をなでおろす。





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泥愛 1-2



CH 1-2


そんなディクラートの様子を見て、突然フランシスは言う。

「ディクラート殿下。私は将来、殿下に仕える立派な騎士になりたいです。」

「?」

ディクラートは突然のフランシスの発言に脈絡は理解できないものの、ただ、

「そうか。期待しているよ。フランシス・ド・シュバールエ。」

と言って、微笑みかけた。

フランシスはそれを見て少し頬を赤く染めてまた俯いてしまう。

恥ずかしかったのだ。自分が。
君主のなんの役に立たずに、ただ後ろを追いかけるだけだった自分が。
それどころか転んでしまい、主の足をひっぱってしまう自分が。

そして、そんな自分にそれでも、笑いかけ優しく声をかけてくれる君主に申し訳がなくてしかたがなかった。

ディクラートはバトリードス王国のたった一人の正当なる王位継承者だ。

そして、彼は学術、兵術、馬術、剣術、あるとあらゆる方面にその類希なる才能を発揮しており、着実に名君への階段を上りつつある。

そのことを城勤めをする父、ロドリゴ・ド・シュバールエ侯爵から聞いているフランシスは内心焦っていた。

侯爵家に生れたからには、将来は王家に忠誠を誓いともに国のために尽くすことは当たり前のこととしてフランシスは認識していた。そのために、今までも勉学や剣術の稽古に励んできたが、3つ年上とはいえディクラートはその神童ぶりを発揮しどんどん前に行ってしまう。まるで、自分など必要ないというように。そう思うと、いままで、一生懸命に頑張ってきたことが無駄に思えてしまい、フランシスは近頃、少々やる気をなくし、気落ちをしていた。

そんな折に父、ロドリゴに、珍しく地方の荘園に遊びに来られる王太子殿下のお相手をするようにと申しつけられたのは。
本当は、フランシスの兄で、侯爵家の跡取りでもあるキリウスが供をする予定であったが、前日に熱を出してしまい、行けなくなってしまったため、フランシスが兄の代行として父についてきた。

そして今、自らの仕えるであろう君主の臣下への思いやりを目の当たりにしてフランシスは、この時、

敬愛するディクラート殿下のために、御役に立ちたい。ずっと御側でお仕えして、この方の成し遂げていくことを共に見ていたい。
そのために、力が欲しい。
その力を手に入れるために何でもしよう。どんな努力も惜しまない。
自分の人生のすべてを捧げよう。
心優しい、この方のためにだけ生きていこう。

そう、堅く心に誓った。



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泥愛 1-3



CH 1-3


一方ディクラートは頬を染めてまた俯いてしまったフランシスをみつめていた。

シュバールエ侯爵に紹介された彼の息子のフランシス。

はじめて会ったときから、その美しさに魅了された。王宮で暮らしているからには、ディクラートもそれなりに美しい女なり男なりを見てきたが、そのどれにも心惹かれたことはなかったが。
フランシスには彼らにはない何かを感じたのかもしれない。

もともと、このような地方の、言ってしまえば田舎の荘園に遊びに来ることは本当に珍しいことだった。

幼いころから、何もかもに秀でた才能を発揮していたディクラートであったが、近頃それでも、何か物足りないような、空しいような、何ともいえない渇きにも似たものを感じていた。そして、同時にバトリードスという大国を本当に自分が守っていけるのか、自分に国王が務まるのかという不安もあった。

現在バトリードス国王でディクラートの父であるファーラスは55歳で心臓に少々問題を抱えている。もともと彼は子供ができにくかったらしく45歳にして初めて授かったのがディクラートだった。
後継ぎの王子の誕生に大変喜んだが、そのころからファーラスの心臓は病に冒されていたのだ。

そんなこともあり、おそらくそう遠くない将来、自分がバトリードスを背負うことになるという確信をもっていたディクラートは懸命に勉学や剣術に励んできた。もちろん、彼には稀に見る才能があったが、それに加えてかなりの努力もしてきたいた。

しかし、近頃、その虚しさと、不安を自分の心に感じると授業も剣の稽古にも身が入らずにいた。それを気にかけた、父王が、今回の行幸を提案したのだ。それが息子の気晴らしになればと思って。

そして今、フランシスのその幼く可愛らしく、美しい姿。そして、こちらが、思わず泣き出してしましそうなほど透きとおった無垢な魂を感じ取り、どうしようもなくその存在が愛おしくなった。


「フランシス。」

そう囁くようにいうと、そっと、まだ俯いたままでいるフランシスを両手で抱き込む。
その華奢な肢体を直接的に自分の腕に感じ取り、ディクラートはさらに愛おしく思う。
そして、もう少しだけ強く抱きしめる。

愛おしい。

その思いは、拭っても、拭っても、あとから、あとから、溢れてくる。
まるで、泉のよう。
止めどなく溢れて、いつかその胸からも溢れだし、
どこへ流れていくのだろう。
それでも、もう、止められないーーー。

この地上に降りてきた天使を護りたい、とディクラートは強く願う。
この美しい姿を
無垢なる魂を
永遠に護り抜くと、ディクラートもまた強く自分に誓ったのだ。

それから、探しにきた侍女の焦った呼び声が聞こえるまで、ディクラートはフランシスを抱きしめ続けた。



ディクラート13歳、フランシス10歳。二人の少年はこの時、お互いの知らない間にそれぞれ一生の誓いを立てたのである。




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泥愛 CH 2-1



CH 2-1



シュバールエ侯爵邸――――


豪奢な、しかしながら、嫌味な感じはみじんもない品のいい部屋。その部屋の中央にある白い大きなベッドの上にはらりと銀糸がひろがっている。
ベッドの上にあるシーツは少し膨らんでいて、そこに何かが存在していることがわかる。そして注意深く見るとそれが、小刻みに揺れていることがわかるだろう。

「ひっく・・・・。うっうっ・・・。」

一人の少年が声を押し殺してすすり泣いているのである。その華奢な身体を振るわせベッドに顔をうずめて泣いている姿は、凄まじい悲壮感を感じさせつとともに、美しいと思わずにはいられないほど神秘的なまでに洗練されていた。

その白いベッドの上ですすり泣いていた青年は、14歳になったフランシスであった。


数日前―――

カンッ。 カンッ。 シャキッ。

シュバールエ侯爵邸の一角で今日もフランシスは剣の稽古に励んでいる。無造作に一つに縛った長めの髪を振り乱し、剣をふるう姿はまるで美神のようである。しかし、その姿に見とれていれば、キレのいい彼の剣の刃の犠牲となるだろう。

フランシスの剣には馬力がない代わりにスピードと相手の隙を確実に突いてくるという強みがある。そして、今まさにフランシスが相手の隙を目ざとく攻撃し姿勢を崩した相手の首元に剣先をつきつけた。

「勝負あり。そこまでだ。」

その声でフランシスも相手も気を緩めて力を抜いた。フランシスは剣を下ろすと相手に一礼をしてその場から離れた。
そこへ、甲高い女の声が響く。

「まあ、フランシス。あなたは、剣の天才ね。4歳も年上のあなたのお兄様から一本とるなんて。」

そう言って、近づいてくるのはフランシスの母であるナタリアだ。
彼女はフランシスと同じ銀の髪を揺らし、彼のように青みがかってはいないアッシュの瞳を輝かせながら小走りでフランシスに寄ってきた。

「母上。あれは単に私の調子が良かったからですよ。本来なら、私が兄上にかなうはずがないでしょう?」

そう言って少し照れくささそうにはにかむ息子にナタリアは輝くばかりの笑顔を向ける。

「まあ。あなたは、なんて謙虚なんでしょう。あんなすばらしい剣を振ってそんな風に言うだなんて。」

と言って、彼女は汗がつくのも厭わずに息子を抱きしめた。

その様子を恨めしそうに見つめていたのは、フランシスの兄、キリウスである。彼は母親と同じアッシュの瞳をぎらぎらとさせながら自分を負かした弟を見ていた。
彼の短く刈られた、父親と同じ金色の髪は今にも怒りで揺れそうである。キリウスは、がっしりとした筋肉の付きの好い体をもつ自分が、あまり筋肉も付いておらず背も同じ年齢の子と比べて少し低い、言ってしまえば華奢な体形をしている弟に負けたことが悔しくてたまらなかった。

そして、それ以上に両親の愛情を一身に受けるフランシスが妬ましく常々思っている。特に母親は弟を溺愛しており、何かにつけてフランシス、フランシスと言い、彼の神経を逆撫でする。

いつも自分が勝つときにはなにも言わないのに。弟が、自分からたった一本取ったくらいであんなに褒め持てはやす。

そんな風に思って見ていると、前から父、ロドリゴが近付いてきた。それに気づいて、キリウスはあからさまにいやな顔をした。また、お説教やお小言をつらつらと食らうかと思うと嫌気がさしたのだ。

近づいてきた侯爵は案の定自分の跡取り息子にお小言を言った。







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