treceの小説
JUNE系の小説を書こうと思います。切なく、切なく、とことん切ない小説が書けたらなと思います。あと、アメリカに留学中の私の日記を書いていこうかと。
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悔感 18
悔感 18
鋭司Side
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後輩である須藤に北斗のことを話して、俺の中であいつのことが少しは整理が付いているように思えた。
自己満足ではあるが、誰かに話せたことで、なにか心の中が少しだけすっとした気もする。
今日も帰ってきたこの部屋には、誰もいない―――。
それを確認させられるたびに絶望させられるのに、ここに帰ってくることはやめられないでいる。
ここにあいつが住んでいた。
その歴史にすら縋りついていなければ、俺は生きてはいけない。
須藤には適当に言ったが、北斗の死を知らされてからしばらくは、本当に地獄だった。
********
10年前―――
妙に整った人気のない部屋を見て俺は、ついに見捨てられたのだと思った。
けれど信じたくなくて、そのまま北斗の帰りを待つのだと部屋にとどまり、壁にもたれて座り込み、灰皿を近くに置いてタバコを吸いながらじっとただ待った。
やがてタバコがなくなり、何もすることがなくなっても、その場から離れることもできなくて、ただぼうっと言い知れぬ不安と恐怖にも似た感情を膝と一緒に抱え込みながら、ただじっとしていた。
部屋の時計の音がとても大きく聞こえた。
ただの時計の音なのに、脅迫されている気分だった。
怖くて、怖くて、
仕方がない―――。
結局、その日、北斗は帰らなかった。
次の日の昼中頃ガチャガチャと鍵の開く音がして、俺は北斗が帰って来たのだと思って酷くほっとしたのと同時に嬉しくてしょうがなかった。
だが、それは北斗ではなかった。
前の日の夕方以降、連絡の取れなくなった俺を心配した徹さんが、合鍵を使って入って来たのだ。
慌てて玄関まで飛び出していった俺は、その姿を見てひどくがっかりした。
そして、そのままその場に座り込んだ。
徹さんはそんな俺に驚いて、声をかけてくれた。
「どうした、鋭司。大丈夫か。昨日から連絡も取れなくて、みんな心配していたんだぞ。・・・・鋭司?」
「・・・・いない。」
「え?」
「・・・いないんだ、北斗が。ずっと、待ってるのに。帰ってこない。」
酷く疲れた声で俺がそう言うと、徹さんはそのまま部屋の中へ上がりこんでいった。
ドタドタと部屋を見回っている様子の足音と、パタンパタンというドアやクローゼットを開け閉めする音が聞こえてきた。
俺は、怖くてそんなことはしなかった。
自分が捨てられたのだと、わかってしまうのが怖くて―――。
それから、徹さんが俺の目の前に来て言った
「北斗君の荷物が、なくなっている。」
頭の中が真っ白になった。
捨てられた―――。
余ほど酷い顔をしていたんだろう。
徹さんは俺の両肩をが知りと掴んで、じっと俺の顔を見ながら憐れみの表情のまま強く言った。
「大丈夫だ。必ず連れて来てやる。だから、ちょっと待ってろ。」
「・・・でも―――」
「どっちにしても、話し合いが必要だろ。それに、本当に何があったのかは、わからない。だからここにいろ。わかったな。というか飯も食ってないみたいだな、何か持って来るから。」
それから徹さんは適当に弁当を買ってきて俺の前に置いて、そのまままた出かけていった。
そうして、空腹のはずだったがあまりのどを通らくて、弁当を半分だけ食べて、また前の同じ場所に蹲った。
また酷く長い時間がったたように思えた。
玄関から音がした。
今度はもう、徹さんだということがわかっていたので、そのままその場で待っていた。
そして、徹さんが告げた衝撃の事実に、俺は、足もとから何もかも全てが崩れていくような衝撃を受けた。
「鋭司、落ち着いて聞いてくれ。その、北斗君は―――」
俺は嫌な事実が告げられるとわかって、焦るこころを抑えきれずに、徹さんの肩を掴んで、声を荒げて捲くし立てた。
「何だよ。北斗、もしかして、どっかで誰か別の奴と暮らしてるのか?!俺、それだったら今から迎えに行く!何としても、連れ戻す!だから、教えてくれ!あいつはどこにいるんだ?」
徹さんは苦しそうな顔をして、俺から目をそらした。
俺は、その意味も知らずに、さらに詰め寄る。
「なあ、徹さん、教えてくれ!相手が誰でも、俺は今度こそあいつを大切にして、ちゃんと手に入れて見せるから!!」
「・・・・・・・鋭司・・・。」
徹さんがおもむろに、俺の肩をきつく抱きしめてきた。
一体、なんだというのだ。
「あのな、鋭司。――――北斗君は、もう、いないんだ。この世のどこにも、もう、いないんだ。」
俺は、すぐにはその言葉の意味が理解できなかった。
「・・・どういうこと?」
「だからな、鋭司。彼は亡くなったんだ。ひと月くらい前に、北斗君は癌で死んでしまったんだ。」
「・・・・・・・・。」
俺の頭は真っ白になった。
信じられない。
わからない。
何を言っているんだ?
それより、北斗はどこにいるんだ?
どうして、ここにいないんだ―――?
待っていると言ったのに。
どうして、ここにいないんだ―――?
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